「ルポ・ネットリンチで人生を壊された人たち」を読みながらはるかぜちゃん炎上事件を振り返ってみるお話

こんばんわ。くらげです。



佐藤大輔最後の新刊

先日亡くなったある意味我が師匠である故・佐藤大輔氏の新刊「宇宙帝国軍1」が先日発刊され、本日購入しました。

こんばんわ。くらげです。 noteを更新しました。 noteを更新しましたよ。今回は「今の職場でどう踏ん張るか」という心構えを書いてみま...

帯には「新シリーズ初刊にして最終刊」と踊っているのが本当に悲しいですね・・・。

現在数冊積ん読しておりますので早めに片付けて手を出したいと思う次第です。

ネットリンチはいいことなのか

ネット炎上は正義なのか

さて、積ん読の一冊である「ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち」を読了しました。

著者は大変に性格がねじくれてく暗い人間なので当然ツイッターでネット炎上に加わって「正義を実践すること」が何度もあった人物です。

ところが、自分がネットでのトラブルに巻き込まれて「ネット炎上とはなんだろう」と疑問を持ち、実際にネット炎上した人たちにインタビューを繰り返しネット炎上は「羞恥刑の復活だ」と警鐘を鳴らします。

ボブ・ランディの発言をねつ造した疑惑で炎上したあるコラムニストはその炎上をこう語っています。

「私は、恥ずかしさと後悔の念にまみれていました。晒し者にするという、社会の私に対する仕打ちは、それはひどいものでした」

コラムの中で一節、言葉を曖昧に扱ったことを暴露された結果すべての仕事を失い、ネットの世界では罵倒されてむき出しの無数の悪意に晒されました。

しかし、この告発をした男性はこの事態に対して困惑し、ネット炎上を起こしたことで以下のように考えを改めます。

「私は最近まで、より理想に近い司法制度ができるかもしれない、今こそ再考の時だ、と思っていたんです。でも、この世界には私の想像を超えて冷たい人間が多くいるとわかって困惑しています」

また、ある女性はネットに人種差別ととれるジョークを書きました。

「アフリカに向かう。エイズにならないことを願う。冗談です。言ってみただけ。なるわけない。私、白人だから!」

このツイートが大量にRTされたことで一夜にして「最悪の差別主義者」となり、仕事を失って世界中から殺害予告や暴行予告を受けました。

著者はなぜ彼女がそこまでひどいことにあったのか。そこまで糾弾される発言だったのかと疑問を述べた上で以下のように述べています。

彼女は、私が会った中ではじめて、ごく普通の「善良な市民たち」によって破滅させられた人ではないかと感じた。

ネット炎上を経験して

ボク自身もネットで炎上させることは以前は「いいことだ」と疑っていませんでした。それで世界は少しは良くなる、と信じていたからです。

しかし、ボクのパートナーであるあおが炎上したのをきっかけに「ネット上の『民意』とはとてもあやふやで誤りに満ちているものではないか」と疑念を持つようになりました。

この炎上についてはネットニュースにもなっていますが、はるかぜちゃんというタレントが朝日新聞にいじめについての記事を書き、それを読んだあおが「ちょっとよくわからない」とツイートしたところ、はるかぜちゃんがRTしたことによるいわゆる信者が多数突撃して「バカじゃないか」等と攻撃してきてあおが精神的に不調になり自殺未遂をした事件でしたね。

   ツイッターでの「大人の対応」で衝撃を与えている、人気子役の「はるかぜちゃん」こと春名風花さん(11)のツイートがまたしても話題を集めている。

これは記事を読んで本当に趣旨がわかりにくいから書いたことで悪意があったわけでも無いのですが、この顛末になるわけです。

こういう惨状を目にすれば「ネットの攻撃」がどれほどむなしいものか理解もしますし、ネットの暴徒というものがどれほど恐ろしいかも理解しますね

なお、RTしたご本人よりは以下の通りのコメントを頂いております。

まあ、なんですかね、「一般人が」「常に覚悟を持って」「炎上することを前提に」ツイートしなきゃだめってのはどこの「市民、幸福は義務です」な世界観だとはおもいますが、この本の以下の部分が突き刺さりますね。

ツイッター上で、大勢で誰かを強く非難している時、その中に非難されている側の立場を考えている人がどのくらいいるか。

ネット上で集団攻撃に加わる人は、ほとんど皆、彼と似たようなものだろう。犠牲者がその後、どうなったかには関心がないのだ。

ネット炎上は善意の排除だ

まぁ、ネット炎上とはかくも簡単に起こりえるものですし、被害も洒落にならないこともあります。それほど現代の羞恥刑はひどいものがあるのですよ。

そして、その羞恥刑は「善意」で行われます。善意だからこそその糾弾は容赦なくたやすく行われるんですね。あおを襲ったのもそういう善意だったのでしょう。

今、どういう行為が恥とみなされ攻撃を受けるかは、ツイッターなどSNSのユーザーたちの考えに大きく左右される。SNSのユーザーの多くが「これは許せない」とみなし、排除に動けば、標的となった人間は破滅してしまう。

まぁ、今のネットで起きていることはこういことですね。誰が「ネットで炎上するか」ははるかぜちゃん自体が炎上したのと同じように制御不能です。

これについては本を読んで欲しいのですが、最後にボクが一番共感したところを述べて終わりにします。

私たちがインターネットの出現以後、作り上げた世界は、ただ愛想良く無難に振る舞っているのが一番賢い――そういう世界のようである。

まぁ、そういう制限の中でどのように言葉を紡いでいくか、そういうゲームでもあるのですが、そういうネットの空気がリアルな社会でも蔓延してないか?というぼんやりとした不安がなんとなく振り払えない、そんな日々です。

まぁ、皆さん、踏ん張っていきましょう。でわ。