マリエ・フォウ・ラーファン(乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です)が不憫可愛いことについて(2024/09/24)

書評

マリエ・フォウ・ラーファンとは

マリエ・フォウ・ラーファンとは「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」(三嶋与夢)に出てくるキャラクターである。本来の主人公(聖女)の位置を奪い取り、逆ハーレムを築く(はずであった)悪役令嬢であり、同時に転生前は主人公(リオン・フォウ・バルトファルト)の妹でもある。

1〜2巻では完全に嫌な悪役としての登場であったが、三巻から一気に作者自身が「どうしてこうなった」というほどに成長して大人気キャラクターになった。

私としても、今のところ「せかモブ」で最も気に入っているキャラクターであり、どうして自分がマリエにここまで興味を惹かれたのかを書く。

なぜこんなに自分の心を射抜いたのか

まず、マリエについていえることは「とにかく不憫である」ということだ。前世では兄が死んだことにより人生が暗転し、転生先では家族に恵まれず、ヒロインの座を射止めようとしたところで5バカが完全に足を引っ張ってしまっている。しかし、そのバカどもをなんとか支えようとする献身さや肝っ玉かあさんに成長するところが本当に面白い。可哀想と成長の素晴らしさ、コミカルなキャラクターとして本当に愛おしくなるのである。

他の悪役令嬢との違いは

確かに「悪役令嬢」ではあるのだが、前世の報われなさや困難を思えば(3巻までやっていることが極悪とはいえ)理解できなくもなく、リオンにお仕置きされている上に現在の悲惨な状況を思えばわからないでもない。また、とにかく「成長すること」が一般的なラノベの悪役令嬢と大きく異なる点ではないだろうか。

キャラクター造形は参考になるのか

「不完全なところから成長するキャラクター」というのは読者にとってもとても心地よく感じるものだ。「せかモブ」は他のキャラクターはそれほど成長しない(特に主人公サイドのヒロイン)のだが、マリエはとにかく物語のコアに絡んでいくし、とにかく動きまくる。こういうキャラクターがいると物語の動きが活発になるように思う。ある種のピエロとなり、サイドストーリーを固めるキャラの重要性を強く感じる。ただ、このキャラは自然に思いつくのではなく「勝手に動く」類のようにも思うので、だいぶ設定が難しいのではないか。まぁ、とにかく愛おしいわけだが。

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