日本時間での2024年9月28日、イスラエル軍がヒズボラの最高指導者であるナスララ師を殺害したの報道があった。そもそもヒズボラとは何かを調べてみた。
ヒズボラとは何か
ヒズボラとは1982年に結成されたレバノンのシーア派イスラム主義組織である。イスラエルとの戦闘では武装組織としてのイメージが強いが、レバノンに議席を持ち閣僚も排出している政治組織でもある。また、貧困層への支援活動や病院や学校を運営している社会奉仕組織でもある。
軍事力としてはレバノン正規軍を上回り、大量のロケット弾やドローンを保有し、戦闘員は10万人を超える。ヒズボラはイラン革命防衛軍から資金提供や軍事訓練を受けており中東におけるイランの代理勢力として活動も行っている。
ナスララ師殺害に至るまでの経緯
今回殺害されたと言われるナスララ師は1992年にヒズボラの最高指導者に就任し、以後30年にわたってイスラエル軍と戦闘を続けていた人物である。
2023年10月に始まったイスラム主義勢力ハマスとイスラエルの武力衝突で、ヒズボラはイスラエルとの対立を鮮明にしており、イスラエル北部を攻撃するなど激しい戦闘を繰り広げていた。
2024年9月にはイスラエルがヒズボラの連絡用ポケベルやトランシーバーなどを爆破する作戦を実行し、ヒズボラ側は報復する構えを見せていたが9月21日にイスラエル軍はレバノンの首都ベイルートを空爆しヒズボラ幹部を集中的に殺害していた。この殺害は連絡手段を絶たれたヒズボラの戦闘員が、防諜が甘い通信機器を使ってヒズボラ幹部の所在地を確認できたため攻撃できたという説もある。
この時点でヒズボラの高級幹部が多数殺害されたがナスララ師は生存していると見られていたが9月28日にイスラエル軍はベイルート南部で空爆により殺害したと発表したが、ヒズボラ側は今のとことナスララ師の安否を発表していない。
今後の中東情勢はどうなるのか
今後、イスラエルとヒズボラとの間での衝突激化は避けられず、イスラエル軍によるレバノン地上侵攻を含む全面戦争になる恐れもある。アメリカのオースティン国防長官は「もし全面戦争になればガザ地区と同等かそれ以上の犠牲者が出るだろう」とコメントしている。
いずれにせよ、今後ますます中東情勢が混迷することは間違いなく、この地域の不安定化により運送コストのコスト増大によりなお一層の物価高騰を覚悟しなければいけない状態である。