Categories: 障害学生支援

障害学生が障害を理解することは自分の勉強のために大事だよ!というお話

こんばんは。くらげです。

くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第52回を配信しました

くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第52回「最近の福祉トレンドは誰でも行ける集会所!?社会福祉協議会ってどんなところ!?」ってお話を配信しました。

今回は社会福祉協議会とはなんだとか地域の福祉のトレンドについてのお話です。よろしくお願いいたします。

障害学生まとめ第2回

本日は「障害のある学生の修学支援に関する検討会(平成28年度)第二次まとめ」を読みながらグダグダ語るシリーズ第二回です。

今回は「障害者差別解消法を踏まえた『不当な差別的取扱い』や『合理的配慮』の考え方」を中心に話を進めていきます。

障害者差別解消法と大学の指針について

まず、障害者差別禁止法についての合理的配慮や差別的取扱について条文を見てみます。

第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置

(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)
第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)
第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。

で、「不当な差別的取扱い」とか「合理的配慮」って大学ではどんなことよ!?というのが障害学生支援に関わる皆様がすごく悩んでいるところなんですが、このまとめである程度の指針が示されました。

不当な差別的取扱い

文部科学省対応指針を踏まえると,障害のある学生への不当な差別的取扱いとは,正当な理由なく,障害を理由として各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯を制限するなど,障害のない学生に対しては付さない条件を付すことと位置付けられる。

ここで障害者側として疑問は「正当な理由」とはなんぞや、です。本当は大学当局が頑張れば出来ることでも「正当な理由があるからできません」となれば差別的取扱では無いと言えるのでは、と疑念を持ちますよね。

しかし、「エレベーターが無い建物の教室で授業を行うのは差別的取扱い」とか「発達障害の学生の休憩室を作らないのは以下同文」とか一律に「正当な理由」を決めることは出来ません。まとめでは個別の事案ごとに検討していくことが必要と述べています。

正当な理由に相当するか否かについては,個別の事案ごとに,障害のある学生及び第三者の権利利益(例:安全の確保,財産の保全,事業の目的・内容・機能の維持,損害発生の防止等)の観点から,判断することが必要である。事故の危惧がある,危険が想定されるなどの一般的・抽象的な理由に基づいての対応は適当ではない。

一方で「事故の危険性がある」「危惧が想定される」というようなぼんやりとした理由で決めるのは駄目ともかいていて、これは「事故が置きそうな場所はここここです。しかしこういう理由でバリアフリー工事は困難です」とか「この授業は英語によるディベートが中心ですがこの授業で情報保障をできる支援者を探しましたがいませんでした」みたいな具体的なところに落とし込んで障害学生に伝える必要がありそうですね。

合理的配慮

次に合理的配慮の範疇ですが、ざっくり言ってしまえば「障害がある学生の「教育を受ける権利」を保障しなさいよ」ってことですね。まぁ、当たり前のことではあるのですが、当たり前のことを当たり前にするというのが難しいのは世の常です。

第一次まとめにおいては,「大学等における合理的配慮とは,「障害のある者が,他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために,大学等が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり,障害のある学生に対し,その状況に応じて,大学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり,かつ「大学等に対して,体制面,財政面において,均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」とした」と定義されている。

同時に「大学に体制・財政的に過度な負担を課さないもの」とも定義されていて、大学がどうしても無理、というなら合理的配慮が出来なくても仕方ない、という限界はあります。

障害学生はどうすればいいのか

申し出が原則

これらを踏まえて大学側がどういう支援を障害学生に提供していくかは一件一件話し合って決めていく必要があるのですが、その流れの前提としてあるのは「障害学生からの申し出」です。申し出が無いなら特別支援する必要は無い、と解釈も出来ますね。

原則として,障害のある学生本人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,大学等は社会的障壁の除去の実施についての合理的配慮を行う。

大学のスキルの問題

明らかに困っている場合は障害学生に障害学生支援に関する情報提供を行う等の働きかけが望ましい、とも明記されていますが、情報提供が出来る人材がいる大学はあまりないのが現状でしょう。(特に小・中規模の私立大学)

本人からの申出ができない場合においても,当該学生が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には,法の趣旨に鑑み,大学等側から当該学生に対して働きかけることが望ましい。例えば,適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけることや,日頃から学生個々の(障害)特性やニーズの把握に努めること,障害のある学生自ら社会的障壁を認識して正当な権利を主張し,意思決定や必要な申出ができるように,必要な情報や自己選択・決定の機会を提供することなどに取り組むことが望ましい。

障害を理解する必要性

なので、障害のある学生さんは貪欲に自分の障害について学んで「大学は自分にこういう支援を与えてくれ!」と主張していくのがホント大事です。どういう支援が出来るのかは各大学でぜんぜん違いますけど、各障害ごとにこういう支援がありますよとまとまっているのは日本学生支援機構が発行している「教職員のための障害学生修学支援ガイド」があります。自分に必要な支援を探してみてください。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の公式ホームページです。

障害を理解する、というのはいろんな意味を含みますが、「どのような支援を受けて良いのか?」を検討するにも不可欠なことです。単に精神的な問題では無いのです。自分を生きやすくためにも必要なんですね。

大学の支援者も多くの場合は障害について専門家でありません。だからこそ障害学生自身が声を上げていくことは大学側にとっても刺激になります。

とはいえ、なかなか障害学生自身が障害を勉強する場所がありませんので、そういう相談は「全国障害学生支援センター」に寄せてみるとよいかもしれません。誰か障害学生相手の支援サポートカウンセリングしてくれんかね。(他力本願)

全国障害学生支援センターでは「学びたいときに 学びたい場所で 自由に学べる社会」を作るために、日本にあるすべての大学の障害学生受け入れ状況を調べて情報提供や相談活動を行っています。また、障害学生同士が情報交換できる場作りをしています。

まぁ、今日はこれくらいで。次回は大学はどんな課題があるのかを簡単に見ていきましょう。でわ。

銀座哲学レクチャー連続講座「古典を読む」

法政大学講師の友人、大森一三さんが銀座の夜のお勉強会を開催するので告知してくれとお願いされましたのでご紹介です。

銀座哲学レクチャー連続講座「古典を読む」Ⅰ
「カント『人間学』を読む」全6回

近・現代の哲学に多大な影響を与えた哲学者、カント。
彼は主著とされる「三批判書」を執筆しながら、大学で20年以上にわたり「人間学」の講義を続けていました。
その内容をカント自ら推敲し、まとめたものが『人間学』です。
難解で知られる主著とはいささか趣が異なり、『人間学』では、認識、身体、心、教育、道徳、文化、歴史、宗教と
人間にかかわる多岐にわたるテーマを平易な語り口で論じながら、そこに巧みに自身の思想のエッセンスを織り込んでいます。
本講座では、『人間学』を一緒に読みながら、『人間学』に込められたカント思想のエッセンスを探ってゆきます。

会場  株式会社クリックネット銀座セミナー・ルーム
東京都中央区銀座3-11-18眞帆ビル3階
参加費 各回1500円(資料代込)
定員  20名(先着順)
※参加ご希望の方は参加ボタンをクリックしてください。

第1回 5/10(水) 19:30-21:00
第2回 5/24(水) 19:30-21:00
第3回 6/7 (水) 19:30-21:00
第4回 6/21(水) 19:30-21:00
第5回 7/5 (水) 19:30-2100
第6回 7/19(水) 19:30-21:00

※1回のみの参加も可能です。
※資料は当日会場で配布します。

【講師紹介】
大森一三(おおもり いちぞう)。
千葉県生まれ。2013年法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程修了。博士(哲学)。現在、法政大学文学部兼任講師。論文に「カント「教育論」における「道徳化」の意味とその射程-」『教育哲学研究』第107号など、カントに関するものが多数。専門は近現代の哲学、倫理学、教育思想。

主催:哲学研究会パイデイア/まなび創生ラボ
協賛:株式会社クリックネット

※銀座哲学レクチャーでは哲学を学びたい人のために対話型の入門講座を開講しています。

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興味ある方はぜひ。かなり面白い人間ですので。

くらげ

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