はあちゅう氏のセクハラ告発記事から考える「強くなくてもいいんだよ」ってお話 #metoo

思考メモ
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こんばんわ。くらげです。

勇気ある実名告白

著名ブロガー・作家であるはあちゅう氏が元職場である電通で元電通クリエーターの岸勇希氏から受けたセクハラ・パワハラを実名告白し、いわゆる「炎上」案件になっています。

はあちゅうが著名クリエイターのセクハラとパワハラを証言 岸氏「謝罪します」
「#metoo に背中を押されました。必死の訴えで、少しでも世の中が良い方に変わることがあれば」との思いではあちゅう氏が 岸勇希氏から受けたセクハラ・パワハラ行為を告白。Twitterなどで大きく話題になったセクハラ証言の記事です。

SNSの反応を見ると「勇気のある告白」という賞賛が多く、ボク自身もこの告発記事を見て「(はあちゅう氏の都合の悪いところを含めて)よくここまで取材に応えたなぁ」と素直に敬意を払います。

一方で、BuzzFeedの告発記事がアップされてからこっち、はあちゅう氏のネット上での発言はすごく憔悴しているように見受けらます。

いつもはいわゆるあおり記事をさんざん書きまくり、炎上の常連で一部のネットユーザーのヘイトを溜めまくっている彼女ですら、今回の件は心底憔悴するものなのか、と驚かざるを得ません。

強い女にしか声を上げられないのか

今回のはあちゅう氏の告発は、アメリカはハリウッドの大物プロデューサーであるワインスタイン氏のセクハラ騒動からはじまった「#metoo」運動の流れにあるものです。

「タイム」の"今年の人"、セクハラを告発した「沈黙を破った人たち」に
女優アシュレイ・ジャッド、歌手テイラー・スウィフトらが登場

これまでセクハラ・パワハラを受けていた女性が大物女優の告発を受けて一般人の女性も「私もセクハラ・パワハラを受けていた」と声をあげはじめたムーブメントですね。

その流れがついに日本にも来たかとは思うのですが、この先に「私も!」と続く人はあんまりいないんじゃないかな、と思っています。

まず、はあちゅう氏の知名度って「ネットでちょっと有名」なくらいですから、アメリカではかなり知名度があった(らしい)女優さんの告発並のインパクトは世間一般的にあるのかしら?というのが一点。

二点目は、影響力のあるアカウントが「セクハラ・パワハラ」を糾弾するものでなく、「電通」を叩く方向に行っているように見えるからです。つまり「セクハラ・パワハラそのもの」ではなく「ハラスメントを容認する電通」という「特殊な環境だから悪い」という矮小化が起こっているのではないかと。

最後は日本においてここまで告発できる「強い女性」がどれだけいるか、という問題です。強い、というのは「精神的にタフ」というのに加えて、「告発しても食うのに困らない・干されない」ということもある。

また、SNSがいかに強力だろうと常に被害者の味方でもない。実際、すでにはあちゅう氏を熱心にたたく人たちも多く、それもまた氏の精神を焦燥させているというのは想像に難くなく、SNSで叩かれても告白できる人はまた限られるでしょう。

ハラスメントは身近にある

んじゃ、おまえはこの状態を傍観しているか?と問われれば現状では何かできることがあるかというとさほどありません。せいぜいブログでこっそり記事を書いているくらいです。ネットでオープンに話すにはちょっと怖い話ですもん。

しかし、ボクがセクハラ・パワハラに怒りの感情を持っていないかというと当然そんなこともなく、ボク自身も障害を理由にしたハラスメントは数多く受けました。しかし、今より精神的に弱っていた当時はもう反論する元気もなく退職するに至りました。

また、妻は性犯罪に巻き込まれたこともある。詳しくは書きませんが、話を聞くだけで犯人に対して猛烈な怒りと殺意を覚えます。そして、被害を受けた後に警察に行ったら「精神障害があるから嘘なんじゃないか」「そんな被害を受ける姿格好じゃない」と刑事にいわれたらしく、被害届を出すことすらかないませんでした。

男である特権

ハラスメントは決して「どこか遠いところのは話」では決してないですし、セクシャルハラスメントどころか立派な性犯罪もまた至る所で起きています。

しかし、恥ずかしいという思いや精神的な衰弱、相談してもなぜか相談相手から「あんたも悪い」と怒られるし警察からも雑に扱われる。それで口を閉ざす。そういう現実はごろごろ転がっています。

しかし、ネットのパワーユーザーたちには(元気な)男が多く、男というだけでそのハラスメントから「免除」されている。むしろ加害者になってもその意識すら持たない、という「特権」を持っているわけですよ。ですから、ネットでもまた女性は「男性の圧力」にむき出しにさらされるわけです。(これは女性でなくても生活保護受給者や障害者でも同じ構造があります)

弱いままに声を上げられるように

ですから、現状では「ネット」はセクハラの告発の武器としては実に頼りないのではないか、と思っています。「強い女性」がリアルでもネットでもたたかれてもたたかれてもへこたれず告発する、という図は格好良くはありますが、そういうイメージが固定するのはむしろ一般的な方々の告発は難しくなるのでは、と不安を覚えます。

では、普通の「弱い人たち」はどうすればいいかと考えると、現実的な解決につながりそうな窓口を知ることだと思います。近所の弁護士なり行政の相談窓口なり、「被害を受けたらどこに相談すればいいか」を普段から把握して、すぐに相談することだと思います。

一人で立ち向かわなくいていいんです。社会には無数の問題がありますが、その解決に奔走する無数の「専門家」がいます。そういう方々がいると「知る」ことが傲慢不遜な連中に対する武器となるのではないでしょうか。(知るための道具としてのネットは超有能です)

ですから、無理に強くなろうとしなくてよい。一人で告発しようとしなくてよい。それは「できる人の戦い方」であり、同じ戦い方を必ずする必要はない。しかし、戦うという意志があれば、いくらでも戦い方はある。そういう「知る力」をこそ、私たちは大事にしたいものですね。

戦っていきましょう

では皆様、それぞれの方法で戦っていきましょう。では。

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